ひきこもりと聞くと「ネット民」や「ゲーマー」を連想してしまいがちですが、現代では普通に生活していた人がひきこもるケースも増えているそうです。
ひきこもりの長期化と高齢化
ひきこもりとは、学校に行かず、仕事にもつかず、病気でもないのに自宅から出ることがなく家族以外との交流が6か月以続いている状態を指すそうです。
ひきこもりの場合には、精神障害がその第一の原因と考えにくいものという決まりもあります。
あまりに人数が多いため「ひきこもり」という言葉が当たり前のように使われるようになり、現代ではこの「ひきこもり」の長期化と高年齢化が問題になっています。
ひきこもりの定義
2013年6月に内閣府が発表した「子ども・若者白書」では、若年層の「引きこもり」についてデータの掲載と分析がされています。
ひきこもりの定義
1)15-39歳が対象
2)下記状況のいずれかが半年以上継続している者
a)普段は自宅にいるが、近所のコンビニなどには出かける
b)自室からは出るが、自宅からは出ない
c)自室から殆どでない
d)普段は家に居るが、自分の趣味に関する用事の時だけ外出する
(準引きこもり)
※状況のきっかけが統合失調症または身体的な病気の場合、自宅で仕事をしている場合、「ふだん自宅にいるときによくしていること」で「家事・育児をする」と回答した場合は除く
日本全国での引きこもりは約23万5000人で、準引きこもりは約46万人、合わせると約69万5000人という計算になるという結果が出ています。
このデータは2010年のもので、対象年齢も15歳から39歳と年齢の幅が狭いため、実際にはもっと多くのひきこもりが存在しているといわれています。
8050(ハチマルゴーマル)問題
最近ではひきこもり問題を8050問題とよんでいるそうです。
これは「80代の親とひきこもる50代の子ども」という親子をあらわしており、50代でもひきこもっている人が多いということが分かります。
ひきこもる本人もそうですが、親の高齢化が進むことで経済的にも精神的にも追い詰められ、孤立の深刻化が懸念されています。
これに対して、国も危機感を強め2018年の秋をめどに、40歳以上のひきこもりの実態調査に乗り出すことを決めまています。
ひきこもりになる原因
ひきこもりになった理由を複数回答で聞いた結果、「職場になじめなかった」「病気」が同率で、「就職活動がうまくいかなかった」が続いています。
学校関連でのつまづきは他項目との比較すると少なめで、就業における問題や病気にという理由の方が多いようです。
特に就業関係では「職場に馴染めない」「就職活動がうまくいかなかった」という理由が2割を超えています。
また、「その他」の事例が25%程度あることから、ひきこもりになるきっかけは様々で、マニュアル通りの対応では対処しきれない可能性があります。
ひきこもり化を避けるには
ひきこもりの人は「自分の感情を表に出す」ことが苦手な人が圧倒的に多いといわれています。
ひきこもりの資質を本人が持っているとしても、それが発動するきっかけを乗り越えたり、スルーすることができれば「ひきこもり化」は避けられる可能性があります。
ひきこもりと同様にニートにもいえますが、「いまの状況を維持できる環境」が前提となっています。
特に経済的な面が大きく、親の経済力があればあるほど抜け出しにくくなってきます。
インターネットをはじめとするインフラの普及により、「引きこもり化」しやすい社会となっていることも大きな問題です。
ひきこもりから抜け出すには、まず周囲の人間が「なぜそのような状態になったのか」を考えることが大切です。
人それぞれにあった対処をしなければ、ひきこもっている本人は元のさやに戻ってしまいます。
ひきこもりが長い人の中には、「働くことが当たり前」という社会や周囲の声に、プレッシャーを感じることが多いといわれていいます。
今後の人生を生きていくなかで、働くことも1つの選択肢だと選べるような、柔軟な社会環境を周囲が作ることも大切です。
ひきこもりから抜け出すことは本人も家族も大変ですが、経済状況や健康状況を数字にあらわしてみるという手段も有効だといわれています。
単純な解決策はありませんが、少しでも進めるよう周囲に助けを求めても良いと思います。