クラウドファンディングとは
なんとなく聞くことはあっても、内容はよくわからないクラウドファンディングですが、どういったものなのか調べてみました。
クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、「こんなモノやサービスを作りたい」「世の中の問題を、こんなふうに解決したい」といったアイデアやプロジェクトを、専用のインターネットサイトを通じて呼びかけ、共感した人から資金を集める方法で、一般的な資金調達とは違い起案者が直接、支援者から資金を調達します。
クラウドファンディングの利用例
クラウドファンディングを知るきっかけになるのが、有名人が行ったクラウドファンディングだと思います。
私もはじめてクラウドファンディングを知ったのは、キングコングの西野さんのプロジェクト「キングコング西野の個展『えんとつ町のプペル展』を入場無料で開催したい!」だったと思います。
西野さんはその後もクラウドファンディングを利用して「【えんとつ町のプペル美術館】をつくりたい! by キンコン西野 」の支援金を集めています。
現在の総支援額は48,490,000円(11月25日現在)なので、もう少しで目標達成となりそうです。
※こちらのクラファンは支援総額62,561,500円(達成125%)で終了しています。
他にも、自殺したご当地アイドルの母親がクラウドファンディングを利用して訴訟費用を募集しています。
こちらは目標金額300万円に対し、362人の支援者から1,863,945円(11月25日現在)が集まっています。
残り33日ですが、このプロジェクトは「全額支援型」なので、目標達成に関わらず最終日までに集まった金額が支援に使われるそうです。
クラウドファンディングの税金は?
クラウドファンディングによって調達した資金は、法人税や所得税の対象となる場合があるそうで、これは寄付を受取る側が個人か法人か、また寄付をする側が個人か法人かで、税法上の扱いが異なってきます。
さらにクラウドファンディングの種類によって税金の種類も変わってくるので、自分がどのクラウドファンディングを利用したのか注意が必要です。
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングは、出資したお礼としてリターンが発生します。
商品やサービスを購入したという扱いになるので、出資を受けるのが法人の場合「法人税」、出資を受けるのが個人の場合は「所得税」の対象となります。
出資額がリターンの内容に比べて高額な場合には、寄付金としての扱いとなってしまうので「贈与税」の対象となる可能性があります。
購入型クラウドファンディングの資金調達とリターンの提供は、消費税の対象となる取引なので、資金調達で受け取った資金のうち8%は消費税の預り部分としてクラウドファンディングプラットフォーム に徴収されます。(調達した資金全てが消費税の対象)
所得税は年間50万円、贈与税は年間110万円までが非課税とされているので、この額を下回る場合には課税対象とはなりません。
投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングは、出資の段階では税金がかかりません。
プロジェクトオーナーが事業を通じて利益が生じた場合には「法人税」の対象となり、個人事業主の場合には「所得税」の対象となります。
投資型クラウドファンディングでは、匿名組合を作りその組合がプロジェクトオーナーに出資を行うのですが、この組合には税金がかかりません。
プロジェクトオーナーと匿名組合員(出資者)の間の「契約」に過ぎないため法的には「匿名組合」という団体に課税されることはなく、営業によって生じた利益や損失などはすべてプロジェクトオーナーに帰属することになります。
プロジェクトオーナーは匿名組合員(出資者)に分配する利益は経費とすることができるため、税引き前の利益で分配をすることが可能です。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングは、リターンのような見返りのない資金提供になります。寄付してくれた人にニュースレターを送付したり、名前の掲載や感謝の謝辞などではリターンの対価として認められることが難しいようです。
寄付型クラウドファンディングの場合は税法が非常に複雑で、取引者が法人か個人かによって税法の取り扱いが異なってきます。
・出資者とプロジェクトオーナーが個人の場合
出資者が個人の場合、プロジェクトオーナーの税金は原則発生せず、ふるさと納税のような特別控除もクラウドファンディングの場合は対象外となります。
プロジェクトオーナーが個人の場合、寄付を受けることになるため110万円超の目標金額に設定すると贈与税の対象となります(贈与税の基礎控除は110万円)。
贈与税は、金額が増えるほど税率があがりますの。
寄付型クラウドファンディングでは、クラウドファンディングプラットフォームに支払う手数料は経費扱いとなりません。
・出資者が法人でプロジェクトオーナーが個人の場合
出資者の法人は、寄附金は必要経費に認められることになります(限度額の範囲内)。
プロジェクトオーナーの個人には一時所得としての所得税がかかりますが、一時所得の扱いとなるとクラウドファンディングプラットフォームの手数料は経費で処理することができます。
一時所得の特別控除は50万円なので、50万円を超えた金額に5%〜をかけた金額が納税額になります。
・出資者とプロジェクトオーナーが法人の場合
出資者が法人の場合は、必要経費で処理することが認められています。
プロジェクトオーナーが法人の場合には、寄付金が受増益として利益が増えるため法人税の対象になり、クラウドファンディングプラットフォームの手数料は 必要経費として認められます。
・出資者が個人でプロジェクトオーナーが法人の場合
プロジェクトオーナーは法人税の対象となります。
出資者が個人の場合は、上記と同様ですが被災地への義援金など寄附金控除にできる可能性があります。
※中学生の場合は、勤労所得控除の対象となるため基礎控除38万円+勤労所得控除27万円の範囲に収まる限りには所得税が発生することはありません。しかし、この金額を超えると課税対象となります。
クラウドファンディングのこれから
不特定多数の人がインターネットを使って、人や組織に資金の提供などを行うクラウドファンディングですが、その内容は「防災」「市民ジャーナリズム」「アーティストへの支援」「政治運動」「ベンチャー企業への出資」「映画製作」「フリーソフトウェアの開発」「発明品の開発」「科学研究」「個人・事業会社・プロジェクトへの貸付」など多岐にわたっています。
クラウドファンディングに「本当に出資を募っている人が信頼できるか」という疑問を持つかもしれません。
初めから出資金を持ち逃げするつもりで、プロジェクトを立ち上げているという可能性もあります。
出資金が集まったとしても、「計画を実行したが失敗しました」という報告だけで、実は出資金を別の口座などに移しているということも考えられます。
クラウドファンディンの大前提が人の善意あるため、一部の人たちが悪意をもって利用してしまうとクラウドファンディング仕組みそのものが崩れることになります。
日本人は善意を持つ民族と世界でも認識されているので、出資する場合には「本当に信用できるのか」を必ず考えて欲しいと思います。