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ヨガの種類と特徴

健康のためのものだけではないヨガ

ヨガは体に良いとテレビや雑誌で特集されることも有りますが、多くのストレスに関連した疾患に対しても有効だということで、近年は医療機関での導入も進んでいます。

ただ、ヨガの本質は体を動かすことだけではなく、なかには人の生き方=ヨガというものもあります。

宗教的な側面もありますが、現代にも通用するような考えが教えとなっているヨガもあるので、哲学的なものが好きな人にも人気があります。

 

ラージャヨガ

ラージャ・ヨーガ (Raja yoga)の「ラージャ」は「王の」という意味で、神を悟るための本格的なヨガといわれています。
「マハー(偉大な)・ヨーガ」とも呼ばれ、根本教典はパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』になります。

第2章にはラージャ・ヨーガの段階について記述されていて、

1.ヤマ(禁戒)2.ニヤマ(勧戒)3.アーサナ(座法)4.プラーナーヤーマ(調気)5.プラティヤーハーラ(制感)6.ダーラナー(凝念)7.ディヤーナ(静慮)8.サマーディ(三昧)

これら8つの段階からなることから、ラージャ・ヨーガをアシュタンガ(アシュ:8つ アンガ:枝、部門)・ヨーガとも言います。

アシュタンガヨガ

アシュタンガ・ヨーガ (Ashtanga yoga)は現在のパワーヨガの源流ともなっているヨガです。
呼吸と共にアーサナを行いますが、実際はラージャ・ヨーガの修行体系のことで、現代にあわせて考案されたヨガアーサナ(ポーズ)の練習方法といわれています。

 

ハタヨガ

ハタ・ヨーガ (Hatha yoga)の「ハ」は太陽、「タ」は月をそれぞれ意味していて、「ハタ」で「力の」という意味があるとされています。

アーサナ(姿勢)、プラーナーヤーマ(呼吸法)、ムドラー(印・手印や象徴的な体位のこと)、クリヤー(浄化法)、バンダ(制御・締め付け)などの肉体的操作によって、深い瞑想の条件となる強健で清浄な心身を作り出すヨガです。

起源は紀元後10世紀-13世紀頃、ゴーラクシャ・ナータが開祖で、『ハタ・ヨーガ』と『ゴーラクシャ・シャタカ』という教典を書き残したと言われていますが、これらは現存していないようです。

インドで社会が荒廃していた時期に密教化した集団がハタ・ヨーガの起源と言われていますが、肉体的操作ばかりに重きをおかれることから、低俗なものとみられることもあります。

しかし、悟りに至るための補助的技法として霊性修行に取り入れるのなら非常に有効とされていて、スポーツのストレッチなどはこのヨーガのアーサナ(姿勢)に由来しています。

  

 

カルマヨガ

カルマ・ヨーガ (Karma yoga)は、日常生活を修行の場ととらえ、善行に励みカルマの浄化を図るヨガです。

見返りを要求しない無私の奉仕精神をもって行います。
カルマ・ヨーガの教典は『バガヴァッド・ギーター』です。

 

バクティッヨガ

バクティ・ヨーガ (Bhakti yoga)は神への純粋な信愛を培い、グルがいる場合にはグルを神の化身とみなし、全てを神の愛と見て生きるヨガです。
古代に実在し、その後神として崇められたクリシュナが開祖で、このヨーガの行者をバクタ (bhakta) と言います。

バガヴァッド・ギーター(インドの宗教書の1つ)は、バクティ・ヨーガやカルマ・ヨーガの本質を謳っています。
近代の大覚者ラーマクリシュナ・パラマハンサは、現代においてはこのバクティ・ヨーガこそ最も必要であると説いています。

このヨーガを主軸に据えるグルの団体において、弟子・信者はグルの命令通りに動き絶対帰依することになりますが、今なお存命中の大覚者であるサティヤ・サイ・ババやシュリ・チンモイは、弟子の病気などのカルマを引き受けることも行っているそうです。

新興宗教の中でも程度の違いこそあれこのヨガを取り入れている団体は多く、間違ったグルを師と仰ぐと一生を棒に振ることにもなりかねないため、事前に十分調査をすることが重要とされています。

 

ギャーナヨガ

ギャーナ・ヨーガ (Jnana yoga)は高度な論理的熟考分析により、真我を悟るヨガです。
有名な人にクリシュナムルティがいますが、このヨーガの行者はギャーニ(ジュニャーニ、jnani)とよばれています。

20世紀を代表する聖者の一人であるシュリ・ラマナ・マハリシは、このヨーガで悟りを開いたとされていますが、一般的には難易度の高いヨガといわれています。

マントラヨガ

マントラ・ヨーガ (Mantra yoga)はマントラ密教でいう真言)を使うヨガです。
ガヤトリー・マントラ、ハレークリシュナ・マントラや、インヴォケーション・マントラなどが用いられています。

 

ジャパヨガ

ジャパ・ヨーガ (Japa yoga)はマントラ(特に、神の名)を繰り返し唱えるヨガです。

マントラの例
Om(オーム)
Omはブラフマ(宇宙意識)の象徴であり、インド古代のほとんどのマントラはこのOmで始まります

・Om Namo Shivaya(オーム ナモ シヴァーヤ)
シヴァ神(宇宙エネルギー)への礼拝です。

・Om Namo Bhagvate Vasudevaya(オーム ナモ バガヴァテ ヴァースデーヴァーヤ)
主クリシュナへの礼拝です。

・Om Bhur Bhuva Sva Tat Savitur Varenyam Bhargo Devasya Dhimahi Dhiyo Yo Na Prachodayat 〈Gaytri Mantra〉(オーム ブル ブヴァ スヴァ タット サヴィトゥル ヴァレーニヤム バルゴ デヴァッシャ ディマヒ ディヨー ヨー ナ プラチョダヤット)
インド最古のマントラで、太陽から働きかける光(知識)である宇宙エネルギーに捧げます。


・Hare Krishna Hare Krishna Krishna Krishna Hare Hare Hare Rama Hare Rama Rama Rama Hare Hare(ハレー クリシュナ ハレー クリシュナ クリシュナ クリシュナ ハレー ハレー ハレー ラーマ ハレー ラーマ ラーマ ラーマ ハレー ハレー) 
主クリシュナと主ラーマは同じ神の生まれ変わりで、両神に礼拝します。 

 

クンダリニーヨガ

クンダリニー・ヨーガ (Kundalini yoga)はムーラーダーラに眠るというクンダリニーを覚醒させ、身体中の気道やチャクラを活性化させ悟りを目指すヨガです。

密教軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)はクンダリニーを象徴化したもので、別名ラヤ・ヨガと言います。
クンダリニーの上昇を感じたからヨーガが成就したというわけではなく、その時点ではまだ初期の段階に過ぎないそうです。

格闘家に愛好者が多い「火の呼吸」はクンダリニー・ヨーガの側面がありますが、すべてがイコールではありません。
内容的に非常に近いものにチベット仏教のトゥモ・ヨーガ、完成のヨーガや、中国の内丹術などがあります。

このヨガを実践するにあたって重大な注意点は、クンダリニーが一旦上昇を始めると、
本人の力だけではそれをコントロールできなくなることがあります。

具体的には、クンダリニーが上昇して頭部に留まってしまい、それを再び下腹部に下げることも、頭部から抜けさせることもできなくなり、発熱や頭痛、またそれが長期に渡ると、脊髄を痛めたり、最悪の場合には精神に異常を来すことさえあります。

なのでヨガを行う場合には自己流又は単独実践は避けて、然るべき師に就いて実践すべきとされています。

「然るべき師」とは、単に知識豊富で多少の呼吸法ができる師のことではなく、自身がクンダリニーの上昇経験を持ち、且つそれを制御できる師のことになります。

クンダリニーの自覚と修行者の人格的向上とは無縁とも言われているのが、クンダリニーの自覚に修行の目的が置かれてしまっては本末転倒だからです。

 

手段が目的にならないよう修行者は努めねばならず、本来の修行の目的を達するならば、そうしたクンダリニーを始めチャクラなど肉体次元、生気次元へのこだわりを無くす事に努めることが先決とされています。

 

クリヤーヨガ

クリヤー・ヨーガ (Kriya yoga)は、ヨーガ・スートラで説かれるラージャ・ヨーガの第二段階「ニヤマ」のうち、苦行、読誦、自在神への祈念の3つのことです。


ここでのクリヤは浄化の意味ではなく、準備段階という意味です。

 

アヌサラヨガ

アヌサラ・ヨガは1997年にニューヨークでジョン・フレンド氏が創設したヨガで、
アヌサラとはサンスクリット語で「流れるままに」「大いなるものに身を任せて」の意味があります。

現代医学の解剖学や生理学に基づいて古典的なヨガと融合した合理性の高いヨガで、
米国のみならず、欧州、オーストラリア、香港など世界各地でアヌサラ・ヨガを学ぶ人が急増しています。

日本でもスタジオヨギーを中心にいくつものヨガスタジオがあり、若い女性に人気のヨガのひとつになっています。

ヨガのポーズにアライメントを正す動きを取り入れていることから、怪我が少なく
さらに継続した訓練により、より力強いポーズが無理なくできるようになります。

体を動かすヨガ(いわゆるハタヨガ)のひとつですが、体と心のあり方も重要視していることが、現代人の求めている点に一致しいて、それもアヌサラ・ヨガの人気の要因のようです。

 

パワーヨガ

パワー・ヨーガはアシュタンガ・ヨーガをベースにしたヨガで、アーサナを通して肉体に負荷をかけることにより脂肪を燃焼させ、美しい肉体を作ることを目的として主にアメリカで開発されました。

伝統的ハタ・ヨーガが、1つのポーズをとったまま一定時間静止した上で次のポーズに
移行するのに比べ、アシュタンガ・ヨーガをベースにしたパワー・ヨーガは、各種ポーズをストレッチのように一連の流れの中で行うのが特徴となっています

また、アシュタンガ・ヨーガに比べ、1つのポーズの静止時間は長く、この点では伝統的なハタ・ヨーガの要素も取り入れられています。
しかし、その目的はハタ・ヨーガとは異なっていて、アイソメトリックな運動によるフィットネスが主な目的です。

過度な負荷は乳酸を増加させるだけでなく、腰痛、関節痛など引き起こすことが指摘されていることから実習には注意が必要です。
肉体的に健康な若者に人気があり、ハリウッドスターを中心に一大ブームとなり先進諸国に広がったことから「ハリウッド・ヨーガ」とも言われています。

 

マタニティヨガ

マタニティ・ヨーガは妊産婦向けのヨガです。
ヨガの体操や呼吸法を通して一体感を味わえることが、命の尊さを再認識し、出産後の子育てが意欲的に取り組めるようになると言われています。

呼吸と共に行うヨガの体操は妊婦の心の状態を安定させる効果や、分娩時の痛みのコントロールにもつながります。

 

ホットヨガ

ホット・ヨガは高温多湿(温度を38度、湿度を65%程度)の人工的に温度・湿度の空調管理が行き届いた、スタジオなどの室内で、ハタ・ヨーガ等をベースにしたアーサナ(ポーズ)を行うヨガです。

ストーブやガスファンヒータと加湿機、温度計・湿度計を使用し、換気扇などで吸排気ができる部屋で、温度と湿度を調節しながら60-90分程度のレッスン時間を用い、鼻呼吸で有酸素運動を意識し、1リットル程度の水分を補いながらアーサナを行います。

特に寒い季節においては収縮し易い筋肉組織が、湿度と温度の高い環境では伸縮し易くなり、平温で行う他の運動やヨーガと比較しても、より柔軟にアーサナをとることが可能になります。

また暖かい環境下で、呼吸を意識しながら身体を柔軟に動かすことで、多く発汗を促すことが期待でき、新陳代謝も効果的に上げることができるので、身体・筋肉組織などの柔軟性を高めると共に、脂肪燃焼効果も運動と発汗と期待できるため、人気が集まっています。

 

阿字観ヨガ

阿字観・ヨーガは真言宗の伝統的な瞑想法、阿字観にハタ・ヨーガのアーサナを取り入れたもので、真言宗の布教方法として確立しています。


蓮華の花の上の(月を表す)月輪の中に、大日如来を表す梵字の阿字が描かれた掛け軸を、半眼で見つめながら行います。
もともとは、真言密教における僧侶の鍛錬の方法だったといわれています。